店長の気になるクルマ試乗記
第25回 ホンダMDX

このMDXというSUVは、とても差し障りがないクルマだね。静かで乗り心地がよくて快適で、おまけにラグジュアリーで。でも、SUVに乗っているということを 全く感じさせないんだよ。恐らくそれを目指したんだろうけど、本当に普通のセダンに乗っているみたいな感じなんだ。

乗ってしまえばいいクルマなんだけど、見た目の印象では惹きつけられるものがないんだよね。悲しいかな、普通すぎる。


ひと言でいうと、「ちょっと背の高い大型の乗用車」といったところだね。まだ前回試乗したプラド、あれの方がSUVらしさが感じられたね。やっぱり「ラン クルなんだ」っていうのを感じさせるものがあったんだよ。ところがこれは、あえてSUVが持つドロ臭さとかゴツさとか、そういうものを一切排除してあるんだよね。

不思議なのは、カイエンにしろレンジローバーにしろ、もちろん値段の違いもあるけど、ああいうクルマは、「SUVを所有する喜び」というものが感じられたんだけど、これは乗ってしまうと、どんなジャンルのクルマに乗っているのか分からなくなっちゃうんだよ。

それを目指してこういうクルマを造ったという点では大したものなんだけど、SUVらしさが薄いというのが僕にはちょっと物足りなかった。もうちょっと味付けが欲しいね。今時のクルマなのに、ティプトロもついてないし。燃費がずば抜けて良いというわけじゃないし。ホンダって、最近はこんなに無個性なクルマを作る会社なんだね!?

相変わらずの自主規制フェンダーミラー付き。ムラーノはスパっとやめてるよ。今後の課題だね。   顔は一連のホンダ顔。レジェンドの流れを汲むもので、ホンダ車であることをアピールしているのはいい。でも、それ以上でもそれ以下でもないところが問題だよ。   意味不明なのがこのフロントのアンダーカバー。普通はツルっとシンプルな面のものが多いのに、これはなぜかこんなにデコボコしてるんだ。

エンジンはホンダお得意の3.5LのV6。これを横置きに搭載しているから、エンジンルームの開口部がとても狭いんだ。そこで気がついた!   このクルマ、ボンネットが短いんだよ。そのためノーズが短くなって、オシリがボテっとした感じがするんだね。   テールレンズも、今時珍しいくらいシンプルなんだ。ただし、ウインカー部分にはなぜか牛乳ビンの底のようなレンズになっているんだよね。

これはスタイリングにもいえることで、ライバルたちは、「いかにもSUVだぜ!」といういかつい顔をしていたり、さりげなくワイルドさや力強さを漂わせて いるんだけど、このMDXは上品にまとめようとしすぎた感じがするんだ。極端な言い方をすれば、レジェンドの車高を上げたヤツ、みたいな感じなんだよね。

インテリアも同様で、これといった特徴がないんだ。極めてオーソドックスなまとめかたで、まるで乗用車だよ。ただひとつ、これはもっとも感心したことなんだけど、シートの形状はいいね。僕が乗ったホンダ車の中で、初めて腰が痛くならなかったシートだよ。

とにかくこのMDXは、非常に評価が難しいクルマだね。ラグジュアリーSUVというジャンルで見ると、ライバル車とは目指したものが違うんだよ。トゥアレグやX5なんかは、「本格的なオフロード走破性を備えつつ、サルーン並みの乗り心地と操縦性を兼ね備えたクルマ」というものを目指しているんだけど、これにはそういう意気込みというか気概を感じさせるものがない。

無理矢理装備したサードシートは、あくまでもエマージェンシー用。オトナが乗ると、もういっぱいいっぱい。   セカンドシートは、スペース的には特に広いというわけじゃないけど、まあ普通といったところだ。

例えば車体の下を後ろから覗き込んだら、排気管が低く下がっていたぐらいだからね。あくまでも「オフロードテイストの高級乗用車」という感じの作り方だよね。もちろん、そういうニーズがあるからこそ、それに向けたクルマになっているんだろうし、否定するつもりはないよ。それが狙いだとしたら、その通りになっているんだから、大したものですよ。街中でも高速でも、静かだし快適だし、運転していても眠くなっちゃうくらいなんだ。もっとも、ジャンルこそ違うけど、ほぼ同じ金額で新型レジェンドが買えちゃうから、買う人も悩んじゃうだろうけど。

欧米各車はもとより、国産の高級SUV勢も、今やデザイン面でも凝ったクルマを投入しつつあるから、このまま勝負するのは辛いだろうね。もっとSUVらしさを押し出して、ホン ダの技術力を駆使して、ライバルたちをあっと言わせるくらいのパフォーマンスを見せてくれるクルマを期待します。

シートアレンジは、今時のクルマとしてはもはや当たり前になってしまった感もあるけど、多彩だよ。通常はサードシートを収納して、その部分に荷物を入れるというのが正しい使い方だろうね。   セカンドシートのオーバーヘッドコンソール部分に、モニターが収納されていてテレビも見られるようになっている。面白いのは、それ専用の無線ヘッドフォンまで装備されているところ。

とりたてて特徴のないインパネまわり。確かに高級感を演出しようとはしているんだけど、ゴージャス! という感じではない。ウッドパネルの質感は超安っぽいね。これは導入業者に文句いった方がいいよ。   この取材車両は、まだ15,000qしか走っていないのに、もう革シートにヒビが入っちゃっているんだ。形状はいいんだけど、まるでアメ車みたい。

ホンダMDX  エクスクルーシブ主要緒元
 全長×全幅×全高(mm)  4,790×1,955×1,820
 車両重量(kg)  2,050
 総排気量(cc)  3,471(SOHC水冷V型6気筒)
 最高出力(ps/rpm)  265/5,800
 最大トルク(kgm/rpm)  35.5/3,500
 価 格(万円)  525(消費税込)

取材協力:ホンダ技研工業株式会社 http://www.honda.co.jp/

由良店長の独断と偏見によるバイヤーズガイド(店長の目安箱/5つので評価する)
エクステリア ☆☆
いわゆる最近のホンダ・デザインを着たSUV、なんかバランスが悪いネ。僕としてはSUVを選んだんだ! という喜びが持てるようなものを、スタイリングにも反映して欲しかったね。

インテリア ☆☆☆
そつなく上品にまとまっていて、嫌味もなくていいんだけど、とりたてて褒めるところはない。

ドライビング ☆☆☆☆
SUVとしてどうかは別とすれば、快適だし静かだし、とてもよろしいんじゃないでしょうか。

店長の衝動買いモード 
全然所有者を満足させるようなオーラはない。

お買い得度 ☆☆
難しいよねぇ。サンルーフやらナビやらは標準で装備されているけど、もっとついていて欲しいなぁ。


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