店長の気になるクルマ試乗記
第21回 ポルシェ・カイエン(ターボ)

今回の試乗車は、憧れのポルシェ・カイエンだよ。しかもターボ! どうせなら一番速いやつがいいからね、というわけで試乗させてもらったんだけど、いやぁ〜速い速い。ボクのMLとはレベルが違うね。東名でチョッカイ出されても、意地張らないでよかったよ!

新旧SUV対決! ていうワケじゃないけど、乗り比べると僕のMLはひと世代前のクルマになってしまったな、という感じがする。スタイリングも、MLは完全にワゴンだけど、カイエンはもっと乗用車っぽいカタチだよね。でも、当分はMLでいいや(と開き直る店長であった)。

ご存知の人も多いと思うけど、カイエンはVWトゥアレグと基本的なプラットフォームを共有する兄弟車。だから、トゥアレグの試乗をした直後から、トゥアレグがこれだけ凄いんだから、カイエンはどんなシロモノなのか、とっても興味があるクルマだったんだよね。何しろ、メーカーのうたい文句が「250q/h以上でWレーンチェンジをしても大丈夫」っていうくらいだからね。つまり、トゥアレグよりももっと高い速度域での走行を考慮したセッティングになっているというワケだ。

さすがはポルシェ、SUVを作ってもスポーツカー・メーカーらしさは捨ててない。でも、トゥアレグに乗る前なら、もっと感動は大きかったかもしれないね。。   ポルシェのデザイン・アイデンティティを随所にとりこもうとしているのはわかるんだけど、顔が上向いちゃって空を見上げてるんだよね。ここは普通にストンと落ちていた方がいいと思うんだけどな。

さて、それではそのパフォーマンスはというと……。いくらなんでも、日本国内で250q/hでのWレーンチェンジを試すなんてことはできないけど、一応いつものテスト・コースで、このカイエン・ターボの実力ってのがどんなものか、トライしてみた。そうしたらね、高速コーナーが連続する区間でも、素晴らしい素性をみせてくれたよ! タイヤが鳴きもせず、きれいな弱アンダーのままでスーっと走って行くんだ。路面の継ぎ目を越えても、足まわりがドタバタしたりステアリングとられたり、一切破綻をきたさずにシューって走れちゃうんだよね。いやぁ、ホント、速いワ〜って感じだよ。


トゥアレグ譲りの足まわりは、完璧なまでのセッティング。エアサスも5段階に調整できる。また、室内から、コンフォート、ノーマル、スポーツの3段階にサスペンションの硬さを切り替えることができるんだよ。   オプションの19インチホイールの隙間から顔を出す6ポッドのブレーキキャリパー。街乗りレベルでは全く問題ないんだけど、さすがのポルシェ・ブレーキでも、超高速域からのブレーキングとなると、2.5トン近くの車重には逆らえません。

ただね、さすがにそういうハイ・スピードレンジでブレーキを踏んだ時は、重たいぞって感じがしたね。ポルシェって、もの凄くブレーキ性能がいいんだけど、カイエンの場合は車重が911とは違うでしょ。2.5トン近い質量を持つ物体が、200q/hで走っていたら、そりゃ止まらないよね。もちろん、ABSの付いたブレーキは素晴らしい 仕事をしてくれるんだけど、そういう速度からブレーキを踏むと、当然なんだけどしばらく車速の落ちるのに時間が掛かって、ある程度車速が落ちてから「ガガガガ」って止まるという感じだからね。ブレーキ性能が悪いというわけではなく、さすがのポルシェも重さにはかなわないから、超高速で走るときは、そのことを忘れちゃいけないね。

このクルマは、電動でチルト&テレスコピック調整ができるようになっていて、パワーシートの座り心地もよく、自分にピッタリのポジショニングがとれた。ただひとつ不便だったのは、ポルシェの伝統にのっとって、ステアリング左脇にキーシリンダーが設置されていること。わざわざこんなことしなくてもいいのに。   操作系には文句のないインテリア。でも、あまり感動はなかったね。996のイメージで仕上げてくれてあったほうがいいね。インテリアのカラーがグレーではなく、黒だったらもう少し印象は違っていたかもしれない。

もちろん凄いのは高速だけじゃない。未舗装の道路でも、足まわりの優秀さというのはしっかりトゥアレグから受け継がれていて、御殿場周辺のダートを走らせて、故意にテールをスライドさせるような走り方をしても、電子制御がしっかり働いて、「グググッ!」という感じで4輪をコントロールしてくれるから、何の不安を感じることもなく走れちゃう。これなら雪の上でも不安なく走ることができるだろうね。ワインディングに持ち込んでも、ヘタな人が乗るフェラーリより速いだろうね。度胸があって正確にステアリング操作ができれば、ちょっとくらいオーバースピードで突っ込んでいったって、クルマがなんとかしてくれるからね。雨なんか降った日にゃ向かうところ敵無しでしょ。4WDでトラクションの掛かりもいいし。

リアのフロアをめくると、スペア・タイヤはなく、その変わりにサブウーファーのカバーが出現するんだよ。スペアの代わりに緊急処置セットが常備されているんだ。   基本的にトゥアレグと同じカーゴルーム。確かに広いけど、ポルシェなんだからもっと割り切ってしまってもいいのに、なんて思うのは僕だけか。   リア・シートも必要にして十分なスペースがある。

とにかく、予想通り高速走行安定性というのは、やはり期待にたがわず凄いものだね。今まで乗った最近のSUVの中では、エリート優等生といったところだ。それに比べると、ボクのMLは「ケンカは強いけど勉強はダメ」っていう番長みたいなクルマだからね。あれはあれで、そういうところが面白味でもあるんだけど(笑)。
ただ、これがトゥアレグに乗る前だったら、もっと印象は違っていたかもしれない。トゥアレグの時は「スゲェなぁ〜!」という感じが強かったけど、カイエンは「速いなぁ〜」という感じだった。なんか、ベースとなったトゥアレグの偉大さを思い知らされたような気がするね。ここまで色々なSUVに乗ってくると、後はもうレンジローバーにはぜひ乗ってみなくては、という気にもさせてくれるよ。

ヘッドライトは現行911のそれをイメージしたもの。   ボンネットのエッジはシャープで面白いデザインだね。   よく見ると、前後のフェンダーが、かなりグラマラスなボリュームが与えられていることがわかる。面のつくりなどは、さすがポルシェだね。

さて、一方のエクステリアはというと、一生懸命ポルシェのトレンドを取り入れているな、というのは伝わってくるよね。ヘッドライトやテールランプなんて、あれをグ〜っとつぶしていくと911になるでしょ。それはいいんだけど、僕としてはもっと頑張ってポルシェらしさをアピールして欲しかったなぁ。パリダカに出た959、ああいう方向でいって欲しいね。なんといってもポルシェが作るんだから、ライバルに比べて荷物がどうのとか何人乗れるとか、そんなもん気にしないでいいんじゃないっていう感じだよね。もう4人乗れれば御の字で、「おお、さすがはポルシェ!」というものにして欲しいよ。僕のイメージするポルシェっていうのは、そういう方向なんだよね。

リアのフェンダー部分は、まるで肩のように張り出している。これも最近のトレンドだね。   リア・ゲートの下、バンパー上部に装着されたガードは、ステンレスのプレス製のものが採用されている。こういう処理は斬新でキレイだよね。そのプレス・ラインが、マフラーのそれと同タイプの形状というのも面白い。   そのマフラーは、よく見るとリア・バンパーに向かってせり上がっているような形状で、空力を意識したのか、まるでデフューザーのような状態で装着されているんだよね。

車高を上げていくと、フロントフェンダーの裏側からもウインカーが点滅しているのがわかるようになる。これも安全性を考慮してのデザインかな?   このドア・ノブのように、このクルマにはアルミの地肌っぽい仕上げのシルバー部分が随所に取り入れられているんだけど、この処理は上手だね。   テールレンズは、今時珍しいくらいシンプルなもの。これを上下につぶしていくと、996のテールレンズになる。

でも、そうなると車両価格が1250万円というのは無理だろうね。これはあくまでもトゥアレグがあってできる金額だから。もし一からポルシェが作っていたら、2000万円越えちゃうよね、きっと。トゥアレグをベースにして、ハイパワーなエンジンを載せてという手法では、この辺が限界かな、という感もあるけど。

その車両価格についてだけど、これが高いかっていうと、もともとの購買層というかターゲットを僕らのレベルまで落としていないからね。年収でいえば5000万以上あるような人たちでしょ。クルマをこれしか買えないという人ではなくて、例えばモデナとか911とかがあって、もう一台SUVを買うとしたら……、なんて考えている人だったら、これを選んでも間違いなく満足する仕上がりにはなっているよね。そういう人がこれに乗ると、「なんだよ、オレのフェラーリより速いじゃねぇか!」ってなるシチュエーション って、結構あると思うよ。

このロゴはカッコいいね。ちょっと速さを誇示しているみたいでシャクだけど。   このルーフ・レールには溝が掘ってあって、一部には切り欠きが設置されているんだよね。あとからキャリアなどが簡単に装着できる面白い処理だね。   これは、ポルシェ・エントリー&ドライブというオプション装備についてくるキーなんだけど、よく見るとクルマの形をしているんだよ。しかもスイッチを押すとライト部分が点灯するんだ。チョット子供っぽいケド、欲しくなるアイテムだね。

このカイエン・ターボというクルマは、おそらく現在では最も速く、そしてもっとも安全で快適なSUVであることには間違いないだろうね。よくできているよ 。このクルマは、ポルシェがスポーツカー以外のクルマを作ったというとらえ方をされることが多いけれども、実際に乗ってみると、「路面が違うところ用のスポーツカー」を作ったんだなっていう気がする。SUVというよりは、どんなところでも速いスポーツカーを作ったという感じだね。やっぱりポルシェはスポーツカー・メーカーで、そうあろうとする姿勢は崩していない。さすがだね。

ポルシェ・カイエン ターボ主要緒元
 全長×全幅×全高(mm)  4,800×1,950×1,700
 車両重量(kg)  2,480
 総排気量(cc)  4,510(水冷V型8気筒DOHCツインターボ)
 最高出力(ps/rpm)  450/6,000
 最大トルク(kgm/rpm)  63.1/2,250-4,750
 価 格(万円)  1,312.5(消費税込)

取材協力:ポルシェ・ジャパン株式会社 http://www.porsche.co.jp/

由良店長の独断と偏見によるバイヤーズガイド(店長の目安箱/5つので評価する)
エクステリア ☆☆☆
ちゃんとポルシェのアイデンティティを踏襲しているスタイリングは認めるけど、もっともっとポルシェらしさを発揮して欲しい。このクルマだったら5点とってくれなきゃヤダ。

インテリア ☆☆☆
ポジションがピッタリくるように調節できるステアリングやシートなど、ドライビングに関する部分は文句ないんだけど、デザイン的には996のシートに座った時ほど感動はない。普通。

ドライビング ☆☆☆☆☆
最も速く、最も安全で、最も快適なSUV。

店長の衝動買いモード 
衝動買いのしようがない。これを衝動買いできるような僕に早くなりたい。

お買い得度 ☆☆☆☆☆
他のポルシェのラインナップから比較すると、ツインターボで4WDで完全電子制御。ここまでやってあるのにこの価格で抑えられているのは、お買い得度は高いよね。全部ポルシェが開発していたら、2000万は切れないでしょう。でも、その時はエクステリアは5点になっているだろうな。


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