店長の気になるクルマ試乗記
第16回 トヨタ・プリウス

今度のプリウスは速いねぇ〜! 僕は先代のプリウスにも試乗したんだけど、あれに比べるとあらゆる意味で確実に進化してるよ。あのクルマは、都内ではいいかもしれないけど、御殿場のようなアップダウンの激しい地域に持ってきちゃうと、ただの非力なクルマになっちゃうんだ。ところが新型は、CMのとおりほんとに「バシューン!」って感じで加速して行くんだよ。

いつもの場所で大人っぽく決めて見ました(って僕は52歳の立派な大人でした)スタイリングに目新しさはないけど嫌味がなくて好印象です。

いつもの某テスト・エリアでも、リミッター巡航できちゃうんだから驚いた。これでエンジンは1500ccなんだから、モーターが凄く一生懸命働いているんだね。東名を走っていても、FD(RX-7)やR32スカイラインにもひけをとらないんだ(もちろん相手は本気じゃないけどね)。しかも、高速コーナーの途中でわざとアクセルを抜いたり、ハンドルを切り足したりしても、なんの破綻もきたさない。まったく慌てるところがないんだよ。

以前トヨタが出したプログレも足まわりはよくできていて、破綻をきたさないのがウリだったけど、あの辺の技術はこのクルマにも全部入っているんだろうね。さすがにタイ ヤは、低燃費タイプで高速ハイグリップ型じゃないんだけど、限界のところでは、クルマの方でそれなりにうまくコントロールしてくれるんだよね。コーナーにオバースピードで進入すると、「ピピッ、ピピッ」と警告音が鳴ってスピードを落としてくれるし、早朝の御殿場周辺の凍った路面でも、トラクション・コントロールやABSをはじめとする各種の 安全装備がうまく働いて、まったく不安なく走れるんだよ。凄〜くお利口さんで、逆にいうとお利口さんすぎて、少しは俺の運転技術にも感心してよ〜って言いたくなっちゃう!

基本的にカナリ背の高いクルマです。それに3ナンバーなんだよね!!   Bピラーがルーフの最高点なので後席の室内高さが厳しいんだね。でも空気抵抗は少なそうなサイドビュー!   腰高のテールはサブウインドーで気にならないようにデザインされている。

でも、こんなに凄いクルマが出てくると、僕みたいな「アナログ人間」は、何とか逆らいたいと思っちゃうんだよね。とはいえ、御殿場〜東京間をしょっちゅう行き来している者としては、これは楽でいいなと感じるのも事実。常々「楽なクルマ」が欲しいとは思っていたんだけど、こういう「ハイブリッド・カー」が自分のレベルの走り方に耐えられるとは思っていなかったよ。ところがこのプリウスは、僕が普段ベンツのMLで走っているスピードや運転の仕方に十分耐えちゃうんだから、正直ちょっとショックだったよ。とにかくモタモタしたクルマじゃないんだ。ただ、追い越し車線を飛ばしていても、誰もどいてくれないけどね。

肝心の燃費に関しても大したもので、僕は一切燃費のことを考えずに、まったく普段の走り方をしていたにもかかわらず、1リッターあたり15qを記録したんだ。MLと同じような速度域と使い方で走ってこの数字だから、普通に燃費を気にした走り方をすれば、20q/Lは走るんじゃないかな。カタログデータの30q/Lというのも確かに凄いけど、実際に走ってみての15q/L、しかも僕の普段の使い方でだから、これは凄い!と感心させられるよ。

ルーフとAピラーの境目が無いというか、AピラーがBピラーまで繋がっていると言えるほど傾斜したフロントウインドーのサイドラインは、そのままヘッドライトの下を流れてタイヤオープニングラインと平行にバンパー下端まで下がってゆく。う〜ん、拘りのラインだね。   この三次元的なルーフも凄いね。ニコチャン大魔王の頭?思い出した。   ボンネットはこのトヨタマークをポイントに面をつまんでデザインされているんだよ!それにこのグリルも一型で作れない凝ったもの!造り込みにも違った意味で拘りを感じたね。

こんな風に、走行性能も大したものなんだけど、何よりも驚いたのは、これだけハイテクだらけのクルマなのに、マニュアルをまったく読まなくても、ほとんどの操作をクリアすることができたということなんだ。これは凄いことだと思うんだ。よくあるパターンとして、エンジニアが凝れば凝るほど、最近の携帯電話やパソコンのように、分厚いマニュアルがついてきて、「これを読まなくちゃいけないのか……」とウンザリさせられることが多いけど、ああいう恐怖感がないってがいい。

今回の試乗では、敢えてマニュアルを読まずにどこまで使いこなせるか、ということにチャレンジしてみたんだけど、なんとかなっちゃった。そこが一番の特筆モノなのかもしれないね。こういうモノを作ったら、「マニュアルどうすんのよ」ってことになるけど、このクルマはその心配がない。それは素晴らしいことだと思うよ。

オーバーハングは少なめだけどとても立体的でボリューム感があるね。   縦に2階建てにデザインされたヘッドライトは意外とおとなし目だ。   フロントに比べて凝りに凝ったリアコンビネーションは機能というよりアトラクションって感じ!

ここまでよくできたプリウスだけど、あえて気になる点をあげるとすれば、高速巡航しているときのエンジン音と、CVTの音かなぁ。結構うなるんだよね。
でも、CVTの出来はいいよ。個人的には、プーリーの径が変わって車速がスーっと伸びていくCVTの変速フィーリングは好きなんだけど、プリウスのCVTも良くできていて、スピードを乗せるときに、モーターのアシスト、つまりモーターのトルクを上手に使っているということを感じさせるんだ。

あとエンジンとモーターの切り替わりも、もの凄くスムーズだよね。ただ、あまりにもスムーズすぎるから、ちょっとビックリさせられることがあるんだ。例えば夜間、ライ トやエアコンなどで電力を消費している時に停止していると、突然エンジンの回転が「ブルルン」と上がって充電を始めるんだけど、ブレーキをしっかり踏んでいないと前に出て行ってしまうんじゃないかと心配になるんだ。そういうものだと認識していればなんでもないんだけど、それ以外の時はまったく平穏なわけだから、ちょっと驚かされるね。

このサブウインドーはデザイン的な重要性もさることながら機能的にもリアの視界の確保のためには重要。ホンダCR-Xとか、三菱ミニカ・スキッパー(古っ!)とか、ファストバック車には昔から使われてきた手法だね。   セダンというかワゴンというか、ジャンルを決められないスタイルだね。   何がなんだか、さわる気のしないエンジンルーム。見たことの無い部品が一杯です。   クリーンなあかし、三ツ星の「超〜低排出ガス!」だって。保管場所の証明にしろ、お役所のこのてのステッカーのセンスの悪さに「超〜三ツ星」をあげちゃいます・・・。(日本の恥ですぞ!)

それからこれは、先代のプリウスに乗ったときも感じたことだけど、あまりにも人に優しすぎて、かえって危ないことがある。低速時や発車時なんかは、エンジン音がほとんどしないから、周囲の人が気付いてくれないんだ。この辺は、こういうクルマが持っている表裏一体の危険な部分になる可能性があるよね。このクルマで下町の商店街に入っていったら、誰もどいてくれないよ。それから、これは最も気になる部分なんだけど、このクルマに搭載されているバッテリーの寿命は何年で、いざ交換となったらコストはいくらなのかっていうことは、ぜひ知っておきたいところだね。

とにかく今度のプリウスは凄いよ。よくできている。これがここまでできていると、近い将来、この技術を使った多種多様なクルマが出てくるような気がするね。生産台数が増えればコストも下がるし、そうなればもっと販売台数も増えるだろうし。個人的には、これのスポーツカーを早く作って欲しいなぁ。例えば、加速時や高速でステアリングのボタンを押すとモーターのフルアシストが加わったりするようなやつをね。

奇をてらわずにシックにまとめたインパネ(インテリアデザイン全般も)は使いやすくて好感がもてた。タッチ式のモニター画面は指紋でベタベタになるけど使いやすかった。特にヘルプ機能はありがたい。   以前「ゆらたく倶楽部」でも話題になった後席のヘッドクリアランスはクルマがギャップで跳ねなければ問題ないかな? トヨタは昔から後席のヘッドクリアランスの極端に小さいマークUを販売してたりと、あまり気にしていないみたいだね。実際マークUは売れてたしユーザーからの文句もあまり聞かなかったな〜。うるさいのはジャーナリストだけ?!   その点、足元の広さはバッチリ! 当然前席の位置は僕のドライビングポジションだよ。

それにしても、アナログで育って生きた僕としては、新型プリウスの良さには驚嘆させられたし、いずれ自動車はこういう風になっていくんだろうなぁというのは実感したよ。でも、だからこそ、化石燃料がもうこれ以上使っちゃダメと言われるまでは、使いたいなとも思っちゃう。もうちょっと、世の中の流れには反していきたいとう、ささやかな抵抗だけどね。

僕らは、自動車というものを楽しめる最後の世代かもしれないからね。加速がどうのとか、キャブの吸気音がどうのとか、近い将来自動車で遊ぶなんてのは、もっての他とされる時代になっちゃうだろうから。まぁ、逆に言えば、そういう歴史の転換期にいる自分たちは、両方楽しめて幸せなんだとも言えるんだけどね。そういう意味からしても、このプリウスっていうクルマは、画期的なクルマだよ。


プリウスの大きな売りの一つ、車庫入れと縦列駐車機能
(インテリジェントパーキングアシスト)

これ、やってみて分かったのは、それなりに使いこなす技術がちょっとだけ要るってことだね。ハンドルが自動で切れたりビックリさせられるんだけど、借りている短い間ではこの機能を使って停める気にはならなかった。肝は機能を発揮させるための最良の位置にいかに停められるかってことだね。でも、そこにキチッと停められるなら、自分で運転して入れられるような気がしたんだけどな。

指導された場所にキチッと停めたらリバースに入れると(停めてからもモニター内で駐車位置の多少の修正は出来る)後はモニターの指示通りに従いブレーキを踏みながら……見事にハイ!出来ました。ハンドルが勝手にクルクル回るのにはマジでビックリしたよ!

これも基本的に車庫入れと同じ要領。始めにクルマを停める場所が肝心かな?ただし混雑している場所や人の多い所では周辺の注意が必要。他車に接触するかどうかは教えてくれないので過信は禁物だね。でも本当に凄い技術ですね〜!(関谷さんのマネ!?)


トヨタ・プリウス主要緒元
 全長×全幅×全高(mm)  4,445×1,725×1,490
 車両重量(kg)  1,250〜1,270
 総排気量(cc)  1,496
 最高出力(ps/rpm)  77/5,000[エンジン] 68/1,200〜1,540[モーター]
 最大トルク(kgm/rpm)  11.7/4,200[エンジン] 40.8/0〜1,200[モーター]
 価 格(万円)  215〜257

由良店長の独断と偏見によるバイヤーズガイド(店長の目安箱/5つので評価する)
エクステリア ☆☆☆☆
視覚的に空気抵抗が少ないんだぞーってデザイン。目新しさはないけど嫌味がなくて高印象、隅々まで拘った仕上げはトヨタ車の中で最高の一台。海外の目も意識してか日本的なダサさもない。

インテリア ☆☆☆
奇をてらわずにシックにまとめたインテリアデザインは使いやすくて好感がもてた。室内の騒音レベルは低速域では動力源自体が静かなので当然静粛。反面エンジンがうなり出す高速域ではオーディオのボリュームレベルがカナリ上がる。

ドライビング ☆☆☆☆
これがマジにハイブリッドのエコカーなの?!って感心しました。旧モデルからの進化は著しい。ドライビングの楽しさとか言わなければ機能的には凄いの一言です。人間に対するインフォメーションもレベルが高いぞ。

店長の衝動買いモード ☆☆☆
思わず買おうかと考えたんだよ。でも僕の周りに衝動買いした人があまりに多いので我に返っちゃったよ。僕はもう少し化石燃料と付き合わないとね!

お買い得度 ☆☆☆☆☆
300万円そこそこで未来が買えるなら安いかも!不安はバッテリーとかの寿命が来た時どうなるのかな?


店長のらくがき帖トップページに戻る


Copyright(C) 2006 Yurataku-ya. All Rights Reserved.