モータースポーツ塾


「レーシングチームの時間割」
第7回 レースのほうがラク!? ウォームアップ30分の格闘

さあ、予選も何とかしのぎ切って、今回はなかなかいい走りができているぞ! となると日曜日の決勝レースは腕が鳴ります! でもその前に最後の仕上げ、30分間のウォームアップ・ランがあるんです。ここで決勝用のマシン・セッティングをチェックするわけですから、短い時間とはいえやることがいっぱい!

まず、予選と決定的に違うのは、マシンの重さ。レースを想定するわけですから、少ない燃料でブッ飛ばす予選とは異なり満タン状態でかなり重くなっています。この満タンセッティング、何度も言ったように事前のテストや練習走行である程度感じをつかんでおけるのですが、いざその場になるとガラッとマシンの調子が変わったりすることがあるので油断なりません。

その要因のひとつがタイヤです。現在、フォーミュラ・ニッポンでは1レースウイーク中に使えるタイヤは4セット16本までと決まっています。コレをやり繰りしながら予選を走るんですが、そのセットをどう使いまわすかの配分がむずかしいんです。たとえば予選用に2セット使い、決勝に2セット残しておく。で、決勝用の2セットはまだ1度も走らせていない新品か、1回軽く走って“皮ムキ”したモノか。これでかなり走りが違ってきます。決勝用タイヤは基本的にウォームアップでは使いませんから、使い古したタイヤで決勝の状態をシミュレーションするわけです。




そんなこと事前にテストしてあるじゃないかとおっしゃる方もいるでしょうが、実際走らせてみると全然違う結果になったりするんです。ホント、タイヤは“生モノ”なんですよ……。また、決勝でのマシンの具合をライバルに悟られないように、古いタイヤで走ったりといった駆け引きも予選同様あります。まぁ、決勝直前になってそこまで余裕のあるチームは少ないのが現実ですが。

こうやって満タン状態のマシンをチェックし、予選での軽いマシンと比較。レースでガソリンが減るにつれ、マシンがどう変化していくかのアタリをつけるわけです。予想どおりの変化ならいいんですが、不幸なことに両者のバランスが取れないこともあるんですね。満タンだとどうもしっくり来ないけど軽くなればなんとかなりそうだ、とか。その逆ももちろんあって、予選で今イチだったのが満タンでは見違えるような走りなんてのも。




これらを加味して、決勝に向けての作戦を練っていきます。満タンで調子がいいなら、前半のうちにチャージしてしまおうとか、後半マシンが軽くなってから勝負だ! とか。最近はタイヤ交換が義務づけられましたから、タイヤのローテーションもそれに組みあわせ、ベストの状態を探り当てます。

ねっ、すごくタイヘンでしょ。レースが始まる直前までこんなに悩まされるんですから。本番のレースのほうがよっぽどラクです!?



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※この講座は1998年〜2000年まで、本田技研工業のホームページに連載されていたものを再編集したものです。


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