モータースポーツ塾


「レーシングチームの時間割」
第6回 ラスト15分のファイト一発! 予選

前回紹介したように、練習走行が“練習の本番”だとすれば、予選は練習の総合試験とでも言いいましょうか。タイムで優劣を決めるわけですから。

フォーミュラ・ニッポンの場合、予選は午前、午後に1回ずつ、それぞれ45分間行なわれますが、午前と午後とでは微妙に走らせ方が違います。もちろん予選ですからタイムアタックが最大の目的なのですが、それ以外にもやることがあるんです。やることというより、“やらざるをえないこと”と言ったほうがいいかな。

レースウイークの間、練習走行は1回・1時間だけですから、どうしてもやり残したことや確認しておきたいことが出てくる。それを予選の間、もっぱら午前中にこなすわけです。最終の最終チェックみたいな感じですね。ほんとは予選早々から新品タイヤでスカッ! と走りたいのがレース野郎の心情なんですが、現実にはムズカシイ……。公式走行会でキチンとマシンを仕上げられていれば可能なことなんですが、前回も書いたようにこれがなかなか……。

予選時、マシンのセッティングは専用のモノになります。1回のアタックで数周しか走りませんから、ガソリンの量が少なくてすむ。ですから、それに合わせて身軽なマシン作りを心がけるわけです。マシンの各部、たとえばサスペンションなどのセッティングは、満タンでスタートする決勝用とは大きく異なります。具体的にどうセッティングするかは、ライバルチームの人がこの講座をブックマークしているかもしれないので、言えませんが……!?




予選でも練習走行同様、駆け引きがキーポイントになります。45分間のうち、どの時点でアタックを始めるか、どれくらいのタイムを出せばライバルを威嚇できるか。一般的に言って、予選セッションは時間が立てば立つほどタイムは上がっていきます。

まっさらだった路面にタイヤのゴムが食い込み、グリップが向上するからです。これを“ラバーグリップ”と言います。そしてもうひとつの理由が、“火事場の馬鹿力”。前半になかなかタイムが出ないと、試験で残り15分なのにまだ白紙回答だらけ、みたいな焦った気持ち(みなさんも経験ありますね!)になるのですが、ある一線を越えるとドカン! とタイムアップすることが往々にしてあるんです。

人知を越えた、ドライバーやチームのキャラクターのなせる技かもしれません。こういうことができるドライバーは、「アイツは一発があるからなぁ」と言われ、警戒されたり尊敬されたりします!




最近では走行中のマシンの状態を、データロガーと呼ばれるコンピューターでチェックすることができます。これを利用すると、ストレートは何周めの時が速かった、あのコーナーは何周めが最速といった具合に、各ラップのいいとこ取りをして理論上の最速ラップをはじき出せます。いわば“努力目標”。

ゲームセンターみたいな? 機能ですが、スピンしてしまった周なども、もしちゃんと走れていればおおよそ何秒出せたなんて出せちゃう。ドライバーを悔しがらせ、奮い立たせるにはなかなか便利ですね!?



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※この講座は1998年〜2000年まで、本田技研工業のホームページに連載されていたものを再編集したものです。


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