モータースポーツ塾


「レーシングチームの時間割」
第5回 練習の本番!? 公式練習走行

いよいよマシンが走りだしますよ! 土曜日の午前中にある公式練習。ここから競争の火ぶたが切って落とされるのです。

練習走行でいちばん大事なことは、これまで自分たちがやってきた作業がキチンと実っているか、テスト時のデータどおりに走ってくれるか、ということがポイントになります。フォーミュラ・ニッポンでは、レース開催の1か月くらい前に開催サーキットで公式走行会(テスト)があり、そこでデータを集めています。本番の公式練習は1時間しかありませんが、走行会は時間に比較的余裕があるため、さまざまなシミュレーションがやりやすいんですね。

ということは、走行会でちゃんとテストできたか、またトラブルに対処する“引き出し”をたくさん持てたか否かが、本番でのチーム力の差となって表れるわけです。みなさんも日頃の勉強を心がけましょう!?




走りだしてすぐは、慣らしの感覚で行きます。ドライバーも、自らをレースモードに戻す感じ。重要なパーツを新品にしてある場合はピット・トゥ・ピットと言って、1周してすぐにピットへ戻り、再点検をしたりもします。この時点で気にしなければならないのは天候やコースのコンディション。テストの時と完全に同一条件ではありませんから、テスト時のフィーリングが再現できない場合、その原因がコンディションにあるのかマシンにあるのかを見きわめる必要があるんです。余談ですが、テストと本番の間に2輪レースが開催されたあとでは、コンディションが大きく変化するようです。お互い走行ラインが違うからでしょうか? 4輪で走ると、コースのグリップが落ちたように感じるという声を聞きます。

1時間の間に具体的に何をどうするかは、状況によってまちまちです。マシンがドンピシャなら早くからタイム狙いで走れるし、決勝を見越した燃料満タン・テストの余裕もできます。不幸にしてマシンが今ひとつの時は改善作業に追われ、それらが全部後倒し。決勝前のウォームアップでようやく満タン、あとはぶっつけ本番なんてことにも……。いかにテストで“先手を打てる”かが大切かおわかりでしょう。

でも、そんな事態になっても、ガラリとセッティングを変えたりはじめて使うパーツに賭ける、なんてことはあまりしません。1時間の中でこれまで自分たちがやってきたことを信じて、腰を据え取り組んでいくのです。スイスイ走っているライバルを横目で見つつ、辛い時間ではありますが……。




練習走行だけでなく、予選でも重要なのは“心理戦”。オレんとこがいちばん速いゾ、追いついてみろ! ってやつですね。セッション開始早々からどんどん速く走り、しかもタイムにバラつきがない。これが決まると、ライバルは「ああ、今回はアイツんとこ良さそうだなあ、かなわないかも」と、微妙に及び腰になっていくんです! こうなればしめたモノ。強い時は徹底的に強く、弱いヤツをこてんぱんにする。ちょっと物騒だけど、戦国の昔、織田信長が寺を焼き打ちにしてまで逆らう者を叩きのめした戦略に例えられるかな!?

自分こそ一番!という演出を心がける。でもこれがタイヘンなんですよね。そもそもマシンが速くなきゃはじまらないし、見栄を張るにはお金がかかるし!?



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※この講座は1998年〜2000年まで、本田技研工業のホームページに連載されていたものを再編集したものです。


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