モータースポーツ塾


「レーシングチームの時間割」
第2回 陣地づくり

前回は、サーキットに到着するまでの動きを紹介しました。たくさんの人員と機材が、日曜日のレースを目指して続々集結……。さて、次なる仕事は“設営”です。

サーキット内にチームの基地を作る、とでも言いましょうか。前回同様オートキャンプにたとえればテントや火・水回りの確保、学園祭なら模擬店の設置、戦争なら前線の指令/補給基地づくり、って、物騒ですね、たとえが!?

場所はもちろんピットが中心です。各サーキットのピットは、イベントが何もない時は四角いただの“作業場”ですが、ここにまず、チームやスポンサーのイメージカラーにしつらえた壁を張りめぐらせて、「オレのチームはここダゾ! 空間」を作り上げるわけです。間取りは、サーキットによっていろいろ。場所によってピットの広さや使えるスペースが異なるため、どこでも同じセッティングにできるとは限らないのです。

まずはマシンを置く場所を決め、それに合わせて使う機材を配置していきます。ここは主にメカニックが作業する場所だから工具箱はこことか、ドライバーはマシンを下りたらこっちのほうへ向かうからとか、人が動き回る時の流れ(“動線”と言います)を考えなくてはならない。主婦の方ならわかるでしょう? クルリと振り向いた所にちゃんと鍋や調味料があって、電子レンジから出した料理はここに置けて……、なんていう理想の台所。アレに似ているかな。




もっともこういったレイアウトは、別にサーキットに着いてからぶっつけ本番でやるわけではありません。いつどこでレースがあるかは当然わかっているし、こっちも長年の積み重ねがありますから、事前にほとんどが決まっています。「今回は鈴鹿だからコレはこっち、アレはそこね」と、それは手際いいもんです。朝サーキットに着いたとして昼前、午後到着なら夕方前にはすべての設営完了!

さて設営で重要なのが、マシンを整備したりするハードな部分だけでない、“ソフト”的な空間。すなわち作戦会議やミーティングを行なう所です。ここばっかりは、よそ様から丸見えだったり声が筒抜けになってはマズイ。目立たぬように、それでいて迅速な情報入手/対応ができるよう心がけねばなりません。




ちなみにこの設営時、監督やドライバーはいません。と言っても、サボッているんじゃありませんよ。レースは共同作業。役割分担というものが徹底していなければなりません。チームでレースをすることを人間にたとえるなら、監督は脳みそや顔の部分なんです。手足は他の人員が担当するし、ドライバーはその体で表現・行動する中身をつかさどっている、とでも言えるでしょうか。

次回はいよいよ戦いの火ぶた。エンジンをかけましょうか!



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※この講座は1998年〜2000年まで、本田技研工業のホームページに連載されていたものを再編集したものです。


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