第1回 レースからはじまったPROSPEX由良モデルの開発

みなさん、「セイコー・プロスペックス」のプレス・リリースはもう見てくれましたか?「DIME」をはじめ雑誌にも紹介されていますので、ぜひ本屋さんで見てください。
SEIKOによる国産初のクロノグラフウオッチ発売40周年記念として、セイコーウオッチ株式会社さんと僕とのコラボレーション・モデルとして発売されることになったこの時計、おかげさまでなかなか好評のようで、ホッとひと安心です。

さて、随所に僕なりのこだわりをみせつつ、ようやく完成した今回の「プロスペックス由良モデル」だけど、これが出来上がるまでには、なんと2年以上の月日がかかったんだよ。というわけで、「ゆらたく屋」ファンだけに贈る、「SEIKO PROSPEX 由良モデル開発ストーリー」の始まり、はじまり〜!

佐々木オーナーと並ぶ伊藤大輔選手の胸に「PROSPEX」
そもそも、この企画のきっかけとなったのは、今から2年前のこと。2002年、ムーンクラフトは自社チームの運営の他に、あの「大魔人」こと現横浜ベイスターズの佐々木投手がチームオーナーである「Team22」の運営を委託されていたんだ。

そのTeam22には、SEIKOブランドの一つである「PROSPEX」がスポンサーとして加わってくれていたんだ。それで、当時その広告代理店の方に、「これをご縁に、機会があったら時計のデザインもやりたいですね」なんて話をしていたら、その人がしっかりその旨をSEIKOさんに伝えてくれたんだね。しばらくしてから、「こういう企画があるんですけど……」という話が僕のところにやってきた。いや〜、言ってみるもんだね。まさか実現するとは思っていなかったけれど、こんな経緯で「ぜひやりましょう!」ということになって、「由良モデル」が計画されることになったんだ。

マシンのコックピット脇にも「PROSPEX」のロゴが光る
最近でこそ、時計はファッション・アイテムのひとつになっていて、趣味の対象として扱われることが多いけど、元々は「時を計る」という機能をまっとうさせるための精密機械だよね。それが「クロノグラフ」ともなるとなおさらだ。そういう機能のカタマリのようなクロノグラフを、いかにカッコ良く見せるかというのは、デザイナーの腕の見せ所なわけで、それだけに随分頭をひねったよ。
というのも、機能をうんぬん言うのはマニアの人たちであって、僕にとっての時計は、時を計るためだけの道具ではなく、着けていないとちょっと不安になる、ブレスレットのような嗜好品なんだよ。だって、時間を調べるんなら、今どき携帯電話を見れば済んじゃうでしょ。

それから、この時計をデザインするにあたっては、あまりクルマを意識せずに、ポップで自由な発想のモノを目指したんだ。どれだけ楽しく、どれだけ面白いデザインにできるかということが僕の一番の興味だったというわけ。レーシングカーの部品からイメージをもらうんじゃなくて、レーシングカーの部品のような、機能的で楽しいギミックの要素、そういう遊びの要素を入れてみたかった。で、まずはそういった自由な発想から沸いてきたイメージをデザイン・スケッチに起こしてみたんだ。


開発当初のスケッチ。最初のころは、ベルトをウイング形状にしたり、四角いクロノグラフってのも面白いなぁ、なんて考えてました。

ご覧のとおり、実は僕が最初にイメージしたのは、ボディが四角いクロノグラフだったんだ。これは結構イケルと思っていたんだけど、どうやらSEIKOさんの考えていた方向とは違っていたらしく、あまりいい返事はもらえなかった。メーカーとしては、もうちょっとコンサバティブなものを期待していたらしい。それで、由良サン的にはちょっと普通な(?)、でも実はしっかり機能的なアイデアも盛り込んで、最終的には量産モデルへと繋がることになる下の画像のようなデザイン案が登場したんだ。


ほぼ量産型に近いアイディア・スケッチがこれだね。この時点ではまだ大まかなものしか決定していないけど、これでひとつの方向性が決まったわけだ。

竜頭が12時方向にあって、スポーツカーのリトラクタブルヘッドライトのように、時計本体がケース内から出現するなんて、楽しいでしょ? もちろんこれにも、十分計算された機能性というものが盛り込まれているんだよ。これと同時に、3時の位置に竜頭があって、時計本体が立ち上がらないタイプの案も、同時進行していたんだ。というのも、量産型に取り入れたアイディアを製品化した場合、かなりコストがかかってしまう。そこで、ディフュージョン版のデザインも同時に進行していたというわけなんだよ。


ディフュージョン版のアイディア・スケッチ。この時点で、一応バンドがつくボディ側のパーツは、サスペンションのブラケット風のものをイメージしてみたりしてたんだよ。

というわけで、開発ストーリーの第1回目は、デザイン・スケッチができるまでのお話でした。次回は、このケース収納式時計に隠された機能性についてお話ししようと思う。こういうカタチにすることで、どんな機能性を発揮するか、気付いた方は「ゆらたく倶楽部」まで。ひょっとして、僕自身も考えてみなかった使い方もあったりするかもね。

セイコーウオッチ株式会社 http://www.seiko-watch.co.jp/

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