2019 Ene-1 Challenge

ムーンクラフト・スタッフブログ、今回は開発部の M が書きたいと思います。
 
さて、今回私は学生時代の仲間たちと先月8月4日に鈴鹿サーキットで開催された「2019 Ene-1チャレンジ」のKV-40チャレンジに出場してきました。
 

<「2019 Ene-1チャレンジ」については、こちら のページををご覧ください。>

 
「Ene-1チャレンジ」のKV-40チャレンジは充電式の単3乾電池40本を動力源とする自作の車で、鈴鹿サーキットのフルコースでタイムアタックを3回行い合計タイムを競うというレースです。勾配や大小様々なコーナーをもつコースを限られたエネルギーで走るため、良い記録を残すためには低ドラッグなボディーと必要十分なスタビリティのあるシャシー、電池のエネルギーをなるべくロスなく推進力に変える高効率なモーターや駆動装置が必要になります。
KV-40チャレンジには最低重量の規定のないKV-1クラスと、最低重量が35kg以上に規定されたKV-2クラスがあり、今回我々がエントリーしたのはKV-2クラスです。今年はKV-1クラスに63台、KV-2クラスに37台の計100台が参加の大賑わい!
両クラスの上位にはCFRP製のカウルやモノコックフレームを持つ車体に高価なインホイールモーターを搭載した車両がひしめき合っている一方、我々の車両はチェーンで駆動するモーターに、アルミのパイプフレームとガラスクロスのFRP製のカウルを組み合わせた低コストなものです。予算がないんです!(笑) だからといって表彰台が狙えないわけではありません。素材としてのカーボンコンポジットの優秀さは日々の業務でよくわかっていますが、正しいコンセプトのもとコストの割り振りをよく考えた車体ならば、安価な材料でも善戦できるはずです。かの西住殿も格上の相手と戦うときに言いました。「そこは戦術と腕かな」と。

写真1. KV-40出場車両

 
 
昨年の大会ではライバル車との走行パターンの違いを活かし、3rdアタックでライバル車とのタイム差を逆転。アタック3回で合計19’51.045のタイムで念願のKV-2クラス優勝を達成し、KV-1クラス・KV-2クラスを合わせたKV-40の総合でも7位となりました。今年はKV-2クラスの連覇とさらなるタイムの更新が目標ですが、メンバー皆忙しく昨年からの変更点はギヤレシオを5%伸ばしたのみとなっています。今までのギヤレシオではダンロップコーナーの登坂にまだ余裕があり、ストレートでは電子進角によってトップスピードを伸ばしていました(80km/h弱)。今回ギヤレシオが高速寄りになったことで、モーターの効率を下げてしまう電子進角を使わずに高いストレートスピードが出せるため、その分余剰になった電力を使ってさらにタイムを縮めるのが狙いです。

写真2. 車体の中身

 
 
レース当日、朝6時から参加受付と公式車検を受け、何事もなくパス。この日の鈴鹿は気温35℃近い暑さだったため、1stアタックまでの時間に近所のホームセンターで工場扇を調達してきました。暑いだの湿度がどうだのが関係なくなるくらい凄まじい風を起こしてくれて、ピットが一気に快適になりました。

写真3. 暑さを吹き飛ばす工場扇

 
 
そして1stアタックに臨みます。車を待機列に並べてスタートした後は、私はピットに戻ってジュースを飲んだり偉そうに腕を組んだりしながらモニターに映るマシンやライバルのタイムを眺めます。そうこうしているうちにマシンが1周して戻ってくるので迎えに行きます。タイムは6分26秒814でKV-2クラストップの総合7番手!昨年の自己ベストから9秒弱縮めて自己ベスト更新です。KV-2クラスの2番手とは3.5秒差です。タイム差は小さいですが、とりあえず前にいる分には一安心ということで、パドックのSUZUKA-ZEで早めのお昼にします。

写真4. 1stアタックのタイム

 
 

写真5. ひんやり おいしい

 
 
他チームのピットにお邪魔してお喋りしたりしていると2ndアタックの時間に。タイヤの内圧を上げ待機列に並び、出走。今度は6分30秒760でKV-2クラストップ、総合6番手でした。2ndアタックからは前回のタイム順に出走となるため、コース上で遅い車を抜く必要がなくなり走りやすくなるのですが、4秒弱タイムが落ちました。うちのドライバー、混んでる方が集中できるのかな?クラス2番手のライバルは7秒遅れで、トータルで10秒程度のマージンができました。しめしめ。

写真6. モニターに映るマシンと2ndアタックの結果

 
 
そして最後の3rdアタックです。2コーナーやシケインの飛び込みでホイールの剛性に不安があったので、3rdアタックは慎重に行くことにしました。今までホイールの剛性が問題になるような場面はほとんど無かったのですが、マシンの性能やドライバーの技量が向上してコーナリングスピードが高まったことで、ホイールの軸方向の変形が増してきたようです。要対策。

写真7. 3rdアタックへ

 
 

写真8.  3rdアタックの一周を終え、マシンはホームストレートへ

 
 
タイムは6分45秒882。慎重に行ったことと電池の電圧降下もありタイムは15秒落ちましたがKV-2クラストップ、総合7番手でした。これで3回のアタックが終了し合計タイムは19分43秒456でクラス優勝と総合6位が確定しました。

写真9. トロフィーと副賞(右側はいつも仲良くして頂いているKV-1チームのもの)

 
 
表彰式では鈴鹿サーキット限定のすずしかトロフィーや、副賞の賞金、テレビを頂きました。やっぱり優勝は嬉しいですね。このVIERAはBS放送の視聴やBlu-rayの再生までできるようです。小さいのに凄いですね。これを使えば私の大好きな「GODZILLA 決戦機動増殖都市」がいつでもどこでも観られます。Panasonicさんありがとう!これはポリゴン・ピクチュアズさんが制作したフルCGのゴジラ映画3部作のうちの2作目で、私はCGやストーリーが癖になってしまい劇場で5回観ました。皆さんも1作目の「GODZILLA怪獣惑星」から順番に観てください。ぜひ。
 
さて、優勝はできましたが、マシンにはシャシー、空力ともまだ多くの改良の余地が残されているので、11月のEne-1 GP MOTEGIでも優勝できるようアップデートを入れる予定です。
そして、毎年楽しいレースを開いてくださるモビリティランド様と大会スポンサー様方、いつも競い合ったり何かと助けて頂いている参加チームの方々、今年もありがとうございました。
 
 
自分で車を作ってみたい方、この「Ene-1チャレンジ」に参加するか、もしくは履歴書を弊社へ送ってください。
どちらも楽しいと思いますよ!

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