流れを観る!

~GT300 EVORA モデルの流れの可視化~

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図.1 GT300 EVORA リヤウイング周辺の流れの可視化とPIV

 
 
ムーンクラフトの風洞ではSUPER GT GT300クラス参戦車両 EVORA MCのスケールモデルを使い、煙による可視化とPIV(注)による流解析を試験的に行いました。(図.1)この実験は、発煙装置とPIV装置のメーカー殿にデモンストレーションを行っていただくという形で実現しました。
煙による可視化は昔からある手法で、灯油や流動パラフィンを加熱して白煙状態にし、細いパイプの先から気流中に導入することがよく行われてきました。
今回のデモで使われた装置では、グリコールの水溶液を一度加熱して蒸気とし、その後温度を下げてから気流中の導入するものです。グリコールは人にも無害、また不燃性で、いやな匂いもありません。灯油の白煙のときは、その煙のせいで頭が痛くなったりしましたが、今回はそのようなこともありませんでした。また灯油や流動パラフィンはモデルへの付着が問題となり、後始末が大変でしたが、今回のグリコールの白煙は85%が水分なので、発煙後しばらく時間がたつと自然に蒸発してしまいます。そのためにモデルや風洞設備を汚すことなく実験後の後処理が非常に簡単です。(実際は、まったく掃除の手間がありません)
 
注)PIVとは、
PIVはParticle Image Velocimetryの略で、粒子イメージ流速計測法と呼ばれています。流れのなかに粒子(煙状の微細な粒子)を導入し、その動きを高速度カメラで撮影します。その際にレーザー光源を使って粒子に光をあてて反射させカメラに映りやすくします。撮影記録された画像は計算処理を行い、粒子の運動を解析したうえで流速ベクトル、速度分布、渦度など、さまざまな情報を得ることができます。

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図.2 リヤウイング付近のレーザーシート

 
 
実験では、リヤウイング周辺に上方からレーザーシートを照射し、煙による可視化とPIVによる流れ解析までを実際に行いました。図.2は煙の写真ですが、カメラ撮影では露出時間が長いために、緑色の霧の様に見えますが、実際には流れのパターンは煙の筋のようになって観察されます。
図.3はPIVによりこの煙を撮影、計算処理した後、専用ソフトで作成された流速ベクトルです。機材は取り扱いが簡単で短時間のうちにレーザー、高速度カメラ、解析用PCの準備ができることも確認しました。

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図.3 PIVによる流速ベクトル作成結果

PIVを風洞レンタルオプションに!

このように便利に使える煙による可視化とPIVを弊社風洞のレンタルオプションに設定します。風洞ご利用の際に、ご相談していただければ、機材一式とアドバイスサービスまでをご提供できるように考えていますので是非お問い合わせください。

ムーンクラフト(株)
空力開発室

 
 

(ムーンクラフト風洞設備については、こちらのページをご覧ください。)

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