ですが、アウディでは、2つ面白いと思ったクルマがあります。それは、情感に訴えるような感情が入ったものです。ひとつはオーバスです。10年前に東京モーターショーに展示してあったものです。そして、もうひとつはニュービートルです。この2台を通して、クルマには情感に訴える感情のようなものがあるんだと認識しました。この車に対する思いの変化がアウディを退社することになった一つの理由です。
私は、アウディが持っているような、チュートニックなデザインも好きですが、同時に大衆に受けるようなデザインも楽しんでいます。チュートニックなデザインというのは、冷たくてエリート的で、非常に真面目で幾何学的、そしてテクニカルというものです。ドイツのクルマを一言で言うなら、エリート主義的といえるのではないでしょうか。それに対してフォードのクルマは、一般の人向けの民主的で内包的な、エリート主義の対極にあるデザインだと思います。100年前にヘンリー・フォードが狙っていたこと、しようとしていたのがそうだと思います。より多くの人に、より多くのクルマを提供したいという思いが形になっているということです。 |