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店長後記
レース前の慌ただしいなか出かけたモーターショー。らくがき帖ではメーカー別に、良くも悪くも気になったクルマをピックアップして紹介してみました。
正直なところ、原稿を読み返して自分でもあまりにも口が過ぎたんじゃないかと、公開するのをちょっとためらったりもしたんだ。ボクのレポートを読んで、快く思わない人だって少なからずいると思ったからね。でも悩んだ末、やっぱりみんなに思ったまま感じたままを読んでもらうことに決めた。そんな心境も含めて、今回のまとめを店長後記として記してみようと思う。
例えば今回のモーターショーでは、ニッサンがGT-Rを発表するというのはすごく大きな出来事なんだよね。モータースポーツに興味がある人も、そうでない人も、みんな注目してるんです。今までもったいつけて出してこなかったし、今回のショーの目玉といってもいい。だから、どういうクルマが出てくるんだろうとみんな期待しているのに、回答としてあの車を出されたら面食らっちゃうよ。
外の形はスカイラインR34の進化版みたいな感じで、これがGT-Rだっていうんなら、それは好みの問題だから、ボクとしてはオッケーだと思う。でも、インテリアをみたときに、レースとか走りを予感させる要素がなくて、例えばシフトノブがないとか、ツーペダルとか。まぁ、例えばツーペダルだったら、F1みたいにハンドル部分で操作するパドルシフトになってればそれはそれでいいかもしれないけど、そういうアイデアもない。
ハンドルは手で触ったら痛そうな感じでゴツゴツしてるし、中に入っているフレームだって、とても人がスーパードライビングができるって環境が演出されていない。誰もがGT-Rだったら室内をみるだけで、「まるでF1みたい!」って思われるような演出してほしいワケだよ。だって「俺は走りたいッ!」って人が乗るクルマなんだから。そういうところのピントがずれてて、ショーカーというかまったくのドリームカーで終わってしまってる。
ピントがずれているって感じたのは、なにもGT-Rだけじゃない。別にモーターショーじゃなくて、オートサロンやカスタムカーショーに出品したほうがいいんじゃないかというクルマも目についた。もうどういう風にクルマを作っていいのかわかんなくなっちゃって、「これ変わってるでしょ」とか、「これスゴイでしょ」っていうデザインの見せ方のモノばかり。GT-Rばかり取り上げるのもなんだから言ってしまうけど、NSX-Rだって、クルマが好きでドレスアップやチューニングして街で乗ってる若い人たちがやっていることのレベルか、それ以下の出来映えに感じたよ。
反対に、ボクが一番スゴイなと思ったのはアストンマーチンのV12ヴァンキッシュ。本来のクルマの作り方にちゃんとハイテクを入れて、しかもシャシーデザイナーを唸らせる設計レベルの高さ、「私脱いでも凄いんです!」の典型だったよ。誇らしげにカットモデルをディスプレイしている訳が良くわかった。エクステリア・デザインも何も変わった加工はしてないんだけど、アルミ叩き出しの伝統を生かしつつ、乗ったら楽しそうだなと感じるように品良くまとめ上げ、クルマ本来の価値感を感じさせてくれる。本当に、クルマの楽しみをわかってるメーカーだ。
日本のメーカーはまだまだそういった意味で成熟していないし、それで満足しているユーザーのレベルもちょっとダメだなと、正直感じた。
取材中、ボクがクルマを見るたびに「ブッサイクだなぁー」とかばかり連発するから、同行していたスタッフも面食らっていたけれど、それはデザインだけを言ってるんじゃなくて、そんなんじゃ夢がないんだよってことを言いたかったんだ。モーターショーなんだから、ユーザーに対してメーカーはこんなことを考えているんだヨ、これから先はこうしたいんだヨっていうのを見せて欲しいんだよね。目先の奇抜なデザインやアイデアばかりといった現実を見せ付けられちゃうと、そのメーカーがいわんとすることが伝わってこない。ギャラリーにしてみれば、おいおいアナタ達はどこへ行っちゃうの?みたいな印象を受けるんだよね。
今の日本は景気も悪いし、先を見るよりも現実に追われざるを得ないから、作っているものにもそれが表れちゃうのも仕方のないことかもしれない(1台持つならSUVが便利だよね!)。でも、それは日本に限ったことではないけれど、海外のブースに行くとかなりのメーカーがスポーツカーを展示している。日本はドアが2枚ってだけで売れないらしい。ギャップを感じちゃうよね。
これからも、もっと日本のクルマの未来が楽しいものであるように、ボクは願ってやまない。だから、ちょっと辛口になってしまったけれど、モーターショーを通じて感じた自動車業界への危惧を、ボクなりの言葉で発信することにしました。次回のモーターショーでは、もっと楽しくクルマを語ることができますように。
2001年10月27日
全日本GT選手権第6戦の行われている鈴鹿サーキットにて 由良拓也
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