店長の気になるクルマ試乗記
第6回 コペン

これは、軽自動車のスペシャリティ・カーを作ったというより、スペシャリティ・カーを軽のサイズで作ったという感じのクルマだね。このクルマを「軽自動車」っていうくくりで見ちゃうと、ちょっと違うかなっていう感じ。そういう意味では、小さくても凄く存在感があるし、街でぱっと見ても「あ、コペンがいた」とアピールするものがあるよね。デザイン・ブランドとして、なかなか面白いところをついているよ。

愛艇(?)の前でハイ、ポーズ! なんちゃって。コペンはマリーナみたいな高級車がたくさん集まるシチュエーションに行っても、「楽しいクルマで来たね」と皆に声をかけてもらえるようなクルマだ。卑屈になることもなく受け入れられると思うよ。こういうところが、このクルマの性格を物語っているよね。

でも、逆にいうと、約150万円という車両価格は、軽自動車としては結構キツイと思うんだよね。値段だけでいったら、1000ccクラスを凌駕しちゃってるからね。そういう点からすると、このクルマを「軽」にする必要があったのかな、という疑問を感じるんだ。
というのも、軽自動車用の黄色いナンバープレート、あれがとっても似合わないんだよね。日本の官僚のセンスの悪さなのか知らないけど、例えば保管場所証明のステッカーだとか、とても貼りたくないと思わせるものの装着を義務付けていたりするでしょ。そういうところがなんともお粗末なんだよね、日本は。せっかくこういうクルマを作っても、あの黄色いナンバーがつくことで、クルマの魅力が損われちゃうのはもったいないと思うな。

その辺のことからも、軽の枠じゃない、例えばダイハツの1000ccくらいのクルマで、こういう小さいのを作っても、カワいいのができたかもしれないね。それに、このクルマは3000回転以下がかったるいんだよね。やっぱり軽だから、ターボが効くまでの間が凄くもたつくんだ。この辺も、1000ccで作っちゃえば解消できる部分なのにね。ただ凄くありがちなのが、日本車って軽サイズの時はちゃんとしていても、それの1000ccバージョンを作ると、もの凄く間延びしたクルマになっちゃう可能性があるんだよ。

前から見ても後ろから見ても、ボディのフォルムやランプのレイアウトなど、同じモチーフのデザインでまとめてある。この辺はTTと同じコンセプトなんだけど、これはこれなりに可愛くまとめてあって、かなりイケてますね。オシリは特にかわいいよね。ランプやマフラーなども上手にまとめてあって、非常にいい。

その代表的なのが、昔のワゴンRの1000ccバージョン。獅子っ鼻のひどいヤツ、あったでしょ。ああいう風に、ひとクラス上の規格で大きく作れるとなったら、よしそれじゃってんでデカくしたら、無様なものになっちゃうことが多いんだよね、日本的な感覚だと。そうじゃなくて、例えばミニとかフィアットのチンクェチェントみたいに、小さくても、軽とかいう枠じゃなくて大きさを考えてクルマを作るというのも、こういうスペシャリティ・カーのジャンルでは、ありなんじゃないかと思うね。スマートはたまたま軽のサイズに収まっちゃったけど、日本の軽自動車規格に合わせて作られたわけじゃないんだよ。本来は白ナンバーだからね。

それからこのコペンは、モーターショーで発表されてから発売されるまで、4、5年はかかったんじゃないかな。発売するかしないか、かなり悩んでいたよね。そういうとこ ろがダイハツのダサいところで、こんなもん悩むなよって言いたいね。このクルマは、うんと売ってビジネスしようとして作ったものじゃないと思うんだ。だから僕も1000ccでいいんじゃないかと思ったんだけど、コペンはダイハツというメーカーのアイデンティティでいいと思うんだよね。「ダイハツは、こういうクルマもきちんと考えて作るんだ」という姿勢を示すためのもので。何をそんなに悩んで、発売までこんなにひっぱっちゃったのかな。そういう意味では、旬なクルマとは言えないよね。デザインも長く寝かせすぎちゃった。発酵し始めちゃったという感じすらあるから、もっと思い切りなさいよダイハツさん、と言いたいね。せっかく面白いものを作ったんだから。

何と後ろのブレーキはドラムだ! まあこのクラスならこんなものかな。ホイールのデザインもアウディからいただいてきたという感じが凄くする。クルマのモチーフがTTだから、当然ホイールのデザインもそこから頂戴すれば似合うんだけど、このくらい「オリジナれよ」って言いたい。見事にマッチングしてるんだけどね。   このロールバー、飾りかなと思ったらしっかりフレームに固定されていて、一応ロールオーバーした時のことも考えてあるんだ。これが二つポコポコって出てるあたりも、TT風だ。風の巻き込み防止用プレートが装着されていたり、この辺もセオリー通りの作りがしてあって、いいね。惜しいのは、ロールバーの下の部分、ここをトノカバーで隠すんじゃなくて、ここまでメタル・トップが覆うようにして欲しかったね。大変だとは思うけど。   スポーツカーの定番のプロポーションをとると、こういう上下の小さいウィンドウになるけど、ここは実際に小さいから、頭を出すという感じではない。ただ、Bピラーまできちんと収納できるというのは、ニクイ演出だよね。

デザインといえば、ケロンがこのクルマにアウディのフォー・シルバー・リングスとTTのエンブレムを付けたのを見たそうだけど、それがむちゃくちゃパロディで可愛いらしいんだ。そんなちょっとしたモディファイがサマになっちゃうくらい、このクルマのデザインは、叩き台にアウディのTT無くしては生まれなかったかな、というのを凄く感じるよね。
全ての日本の自動車メーカーに言える事なんだけど、日本人は最初の部分の発想をする力というのはとても弱いんだけれども、ヒントをもらってからそれを昇華して新しい物に練り込んでいくという能力はもの凄く高い。これはあらゆる分野にいえる日本の特徴のひとつだと思うんだけど、このクルマの場合もその例に漏れず、コペンがTTよりも先に、最初にこの形で世の中に出ていたら、「凄い!」と思っただろうね。だけど、TTを見ちゃってからこれが出てきたからね。あれをいきなりデビューさせて売ってしまうアウディの凄さっていうのは、底知れないものがあるとあらためて感じるよ。

なかなかハイクオリティにまとまってるいるけれどインパクトがない。こういうクルマなのでもっとデザインで遊んじゃえば良かったのに。そつなくまとまりすぎだね。全体が丸のモチーフなら、もっと丸が色々な所に面白く登場するようにするとかね。インパネまわりは力尽きちゃったかな、という感じ。   シートも同様で、形状や機能は絶賛、腰の悪い由良サンが、全く痛くならずにすんだというくらいちゃんとした良いシート。でも、どこかから持ってきて付けました、みたいなデザインはちょっとがっかり。

でも、最初からこういうスペシャリティ・カーを作ろうという頑張りがあったし、コストも割り切って作られているので、それなりのクオリティでしっかりしたものができているということは、とても評価できるよ。実際に乗ってみても、シャシー剛性がなくてヘタヘタした感じというのはなかった。ただ操縦性に関しては、ちょっと気を使う部分があったけどね。よく「キビキビした走り」と言うけど、これは逆の言い方をすると、「センシティブ」とも言えることで、街中ではいいとしても、高速走行時にはその挙動がさらに大きくなっていくので、東名の御殿場〜大井松田間を高速巡航する時などは、非常に神経を使うところだね。

長距離ドライブや旅行に行く時は、オープンドライブはあきらめよう。オープンにすると、トランク・スペースはルーフに占領されてしまうので、ほとんど荷物を入れられない。このクルマは遠出というよりは、楽しくドライブするためのものと割り切る必要がありそうだね。ただ、ルーフを閉めた状態にすれば、結構な荷物を積むことができるよ。それからこのリンク類は、結構頑張って作ってあるね。

オープンは電動でワンタッチ。15秒で爽やかな風を味わうことができる。【動画】 開かないときは、右クリックして「対象をファイルに保存」してからご覧ください。
動画をご覧いただくにはWindows Media Playerが必要です。

ただ本当に、楽しい遊び心のあるクルマ作り、そういうのはきちんとできているね。実は今、次はこのコペンをいじったら楽しいかな、とも感じているんだ。どうやら持病のイタズラ心が、またムズムズしはじめたみたい。バイヤーズガイドの評価の凹凸を見ると、このコペンは由良サンの好きな「とんがっているクルマ」っていうことになるんだよね。

由良店長の独断と偏見によるバイヤーズガイド(店長の目安箱/5つので評価する)
エクステリア ☆☆☆☆
コンセプトがオリジナルだったら5点あげちゃうのに……。

インテリア ☆☆
ほとんどオリジナリティを感じなかった。ある物をうまく流用したかな、という感じ。

ドライビング ☆☆
軽ならではの低速のもたつきと、クイック過ぎる操縦性。この辺が気になる。

店長の衝動買いモード ☆☆☆☆☆
イタズラ心がムズムズする。未完成感が僕のムズムズを誘うんだよね。

お買い得度 ☆☆☆??
本人の気持ち次第だよね。心の持ちようで5にも3にもなる。

この凸凹の星の数が個性的でトンガッテイルのをあらわしているんだね!


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