第2回 機能を追及して生まれたデザイン

いくつかあったデザイン・スケッチの中から、市販モデルのベースとなるものと、そのディフュージョン・バージョンのデザインで製作が進行していたPROSPEXの由良モデル。今回は、このデザインが単なるギミックではなくて、実はしっかりと計算された機能が備わっているんだということについてご説明しよう。

時計本来の機能は別として、このユラモデルの最大の特徴は、竜頭が通常の3時方向ではなくて12時方向についていて、時計本体がケースから起き上がるということだ。なんで こんなデザインを思いついたかというと、もちろん仕掛けが面白いということもあるんだけど、それにはちゃんと理由があるんだよ。



まず、時計本体を起こしてデスク・トップに置き、アラームをセットしておけば、目覚まし時計代わりにもなる。アラームが鳴った時、いちいち時計をつかんで文字盤を見るという手間がかからないからね。
それから、最近では時計の性能が向上して、実際に竜頭を操作して時刻合わせをする機会というのは滅多にないわけだから、そんな竜頭は引っ込んでくれていたほうが邪魔にならない。こういう所はレースカーの発想だよね。

また、いざストップウオッチを使おうという場合、3時の位置に竜頭があるタイプのものだと、かなり腕をねじらないと文字盤が見にくいんだよね。手元にクロノグラフをお持ちの人は、試みにストップウオッチ機能を使ってみてください。ホラね、左腕をねじって使うのって、意外と不便でしょ。となれば、腕をすっと出した自然な状態で、時計本体が 60度起き上がってストップウオッチになるこのモデルは、かなり機能的になるよね。



それからなによりも、防水機能付きの大きなクロノグラフの場合、竜頭自体もそれなりの大きさになり、手の甲に食い込んで痛い、なんて場合もあるよね。そういうわずらわしさも、この収納式ボディにすれば、一気に解決できてしまうというわけだ。
ちなみに、時計本体のロックは、べゼルを回転させることによってON/OFFができるようになっているんだよ。

こういう理由から、ケースから時計本体が起き上がるというデザインが生まれたわけなんだけど、これを実現するとなると、それなりにコストがかかってしまうんだよね。だから、ごく一般的な3時方向に竜頭があって、ケースから本体が起き上がるという機能を省いたディフュージョン・バージョンも同時に進行していたんだ。だけど最終的に存在感のある可動式のモデルでGOが掛かったんだよ。



実際の作業工程としては、前回紹介したイメージスケッチからさらに細部を煮詰めていき、SEIKOさんとのやりとりを通じて、いよいよ最終案がまとまってい った、といったところだね。
そんな作業を繰り返し、本格的に量産モデルの形が決定して、できあがったのが下の設計図。これを元にして試作品の製作に入るんだ。

この試作品作りというのも、かなり面白い部分なので、次回はいよいよ完成までの模様をレポートします。


セイコーウオッチ株式会社 http://www.seiko-watch.co.jp/

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