GC-21スポーツカー

第4回 CADとCAMのおかげでマスターモデルづくりは楽チン!

前回紹介した風洞実験を終えると、次はクレイモデルの断面を赤外線のセンサーで計測し、CAD(コンピュータ・エイデット・デザイン)データの図面を作ります。

計測値をもとに完成したCADデータ。ワイヤーフレームと三面図。

そして、ボクが風洞実験を重ねて図面を作るまでの間に、ムーンクラフトのスタッフはダラーラF3をバラして、マスターモデル製作の準備に取り掛かっていました。細かい部分まで剥ぎ取られたダラーラはまるで「鰹節」みたいな状態になって、新しいマシーンに生まれ変わるのを待っているんです。しかし、足回りを取り去ってごろりんとしたフォーミュラなんて見たことないでしょ!?

ダラーラ分解中。足回りのないフォーミュラはカツオぶしみたいでしょ?   ダラーラF3まさに丸裸!

準備が整ったら、実際にマスターモデルを作ってくれる会社へCADデータを送り、製作を依頼します。CAM(コンピュータ・エイデット・マニュファクチュアリング)の大きな機械に、CADデータを入力すると実寸サイズのボディを作ってくれるのです。写真を一見すると、素材は丸太のように見えるけど、硬質発泡スチロールの上にワーカブル・レジン(造形用の材料で、盛り付けるときは粘土状で柔らかく、硬化するとノミやカンナで削れます)を付けて固めたもの。それを機械が図面どおりに削るんです。これは、頼んでから1週間もすれば出来上がっちゃいます。

大型のCAMマシーンでボディを製作中。   これがいわゆるマスターモデルだよ。

出来上がったボディマスターモデルの切削加工品は、ダラーラシャーシに対して右半分と左半分がシンメトリーになっています。これがムーンクラフトに届くと、鰹節みたいなダラーラのシャーシに合わせて、マスター合わせ完了です。実際には、これにヘッドライトカバーが付くので、先に型取りを済ませておきます。一方、別の作業場ではアンダーボディとなる木型の製作が進んでいます。GC-21を裏返して、下面部分を製作していくんです。

マスター合わせをしているところ。   マスター合わせついに完了!

ヘッドライトカバーの型どりを先に済ませます。   アンダーボディとなる木型の製作。

マスター合わせが完了したボディは、表面を仕上げるためにプラスチックサフェーサーを吹き、耐水ペーパーで最終研ぎ出しにかかります。これで、ついにマスターモデルが完成。いよいよ型取りへと入ります。


プラサフを吹いて耐水ペーパーで最終研ぎ出し中。

余談だけど、チョット前まではこうしたCAMを利用するには数千万円という金額が必要で、ものすごく高価な技術でした。でも、最近では価格もこなれてきて、数百万円でできるようになりました。また、このCAMが登場する前は、コラムで紹介したFRPボディの成形工程にあるように、クレイモデルから線図を取り、ベニア板でセクションを組んでウレタンを流し込み……と、時間をかけて製作していたんです。

今では、クレイモデルに赤外線センサーを当てればCADデータの図面ができるし、それをCAMに入力すると実寸大のモデルが出来上がるんだから、当時から考えるとオドロキだね。難題だった左右対称の図面を作るのだって、コンピュータの手にかかればクリック1回で出来るんですから、つくづく便利な時代になったなァと、昔を懐かしむ由良さんでありました。


第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回第8回第9回


ガレージごてんばトップページに戻る


Copyright(C) 2006 Yurataku-ya. All Rights Reserved.