GC-21スポーツカー

第2回 由良拓也、新GC開発コンセプトを語る

1/4スケールモデルでの風洞実験がほぼ終わった頃、4月7日のフォーミュラニッポンの予選日にGC-21スポーツカーレースの記者会見が行なわれました。富士スピードウェイ営業本部長の福士さんによるレースの概要説明があり、ボクもそれに同席し、マシンについての説明を行うことになったんです。今回の製作記は、記者会見でのボクの発言をたーっぷり紹介します。どうしてこうした規格になったのか、これから製作記を展開していくうえで、頭に置いていてほしいからなんだ。

どうしても最後まで読みきれない人のために、最初に簡単に説明しちゃうと……ボクの頭の中での新GCは、最終コーナーから出てきて、コントロールタワーで前車のスリップから出たクルマが1コーナーでもう1回抜き返される……2回くらいスリップが使えるレース展開を考えているんだ。予選1位でも6位でも毎周順位が変わるような、まるで昔のマイナーツーリングのような感じだね。こんなレースができるクルマを作れば、やみくもに性能アップばかりするよりもずっと面白いレースになるのかな、なんて考えてマシンを開発した結果が、今回の記者会見の概要なんです。では、ちょっと長いけど読んで下さいネ。

ボクの説明を聞いて、良く理解できた、という人が多かったのは嬉しかったネ。

〜以下、記者会見での店長のコメント〜

私はGCでこの地にきてGCで育った人間として、もう一回GCマシーンをつくる機会をいただけてとても幸せです。今回のマシンはいろんな方から助言をいただき、開発のために一番重視した点は、スリップストリームが効くクルマ。当面ムーンクラフトのワンメイクという話になっていますが、あくまでも立ち上がりのお手伝いをしているだけの気持ちでいます。我々大御神(おおみか)レース村を含めて僕たちの世代はGCカーを作り、それを開発しながらノウハウを身に付けてきたこともあり、この勉強させてもらったカテゴリーを独占するという意識はまったくありません。とりあえずムーンクラフトのボディをレギュレーションの範囲でどう改造されてもかまいません。

私たちは、最初の部分で長く続けられるカテゴリーにするためのレギュレーションを構築するため、風洞実験をしながら誰が作っても一定の性能の中でおもしろいバトルができるよう開発しました。クルマとしては最高速度の想定を275〜280q/h、現行のF3というのは260q/h位ですから、15〜20キロの性能アップを見込んでいます。そして、ダウンフォースは富士のF3と同等程度、多くても一割程度以上ずれないような範囲で設定を考えています。これはダラーラシャーシの強度面、特にサスペンションにあまり過大なダウンフォースを与えると、加重の配慮をされていないということもありますので。また、タイヤの問題もあり、現行のF3タイヤを使った場合の最高速度時の加重値設定を考えています。性能的にはおよそダウンフォースCLS値(実ダウンフォースを表す値)で1.2から1.4くらい。これは最高速280q/hと想定したところで、大体450kgくらいのダウンフォースです。それからCDS値(実空気抵抗の値)が0.53〜0.58くらいのセッティング範囲の中で収めるということを想定しました。

重量は、ボディ表面積が多いのでF3の車重にプラス50s近くなるかなと想定をしています。そこで、ボディをフォーミュラに加工するうえで、高剛性で軽量なものを考え、F3では禁止されているカーボンファイバーを使ってボディを製作しています。

これが記者発表で配ったGC-21のイラスト。前回のイラストよりちょっとシャープになった。

特徴的なレギュレーションとしては、ステップドフロアのスポーツカーであるということです。私の知る範囲では、そうしたスポーツカーはありません。フラットボトムが一般的ですが、あえてステップドフロアを採用したのはF3と同等の車高で走らせたいからです。F3のサスペンションジオメトリーを尊重してクルマを走らせると、フロントの車高が15oくらいでリア車高が40oくらい。非常に低い車高で、その車高のままではサイドやノーズが擦って全く走れないフォーミュラになってしまうんです。これをフラットボトムの車体にしてセッティングすると、フロントが40o、リアで70oくらいの車高に持ち上げて走るようになり、足がぐっと下がりジオメトリーの追いつけない領域に入ってしまいます。

また、コストを抑えるといった面からも現行のF3の足回りで走らせたいというのもありました。他にも長所があり、ステップドフロアを採用して実験してみると、ビックリする程ダウンフォースがでません。フラットボトムカーに比べてかなりダウンフォースが低く設定でき、ボディの下にエアを急激にはらむような挙動の変化がでにくいので、安全的な見地からもいいのではないかと。それからもうひとつ、グラベルに出てしまったクルマが無事に復帰できる可能性が高いというのもステップドフロアの特徴です。レースが面白く続くという部分でもいいのではないかと考えています。

ディメンション(車体寸法)はF3と同じで、現行のダラーラはレギュレーションで横方向に余裕を残したクルマに仕上がっています。スポーツカーとしてみるとフロントオーバーハングは長すぎるぐらいで、リアオーバーハングは短く、本来であればこのボディの後ろにウイングをつけたいところですが、上に載せるしかない。でも、F3のスペックのまま作ることは厳しい反面いい部分もあって、ボディ後部が短いため(オーバーハング50cm)空気整流が終わらず乱流を残して、スリップストリームが効きやすいボディになります。また、F3よりさらに厳しくリアのディフューザーまわりを細かく製作できないようにし、LMP(ルマン・プロトタイプ)のレギュレーションにある厳しいスポーツカーのルールを入れています。

安全性を考慮して、リアウイングだけは最終的にはワンメイクにと考えています。小さなリアウイングを設定することで、ダウンフォースが一定以上でないようにし安全性を確保したいのです。マシンのダウンフォースは後ろの量が決まってしまうと、前部も決まってきますので、エントリー車を安全にコントロールできる面もあります。また、ライト類は雨や霧が多い富士ウェザーを想定して、フロントとリアのライト、リアのブレーキランプをつけました。フロントノーズは安全性の見地から、クラッシュテストをクリアしているダラーラのノーズを無改造で使うことがベストだと判断しました。

ながーい説明を最後まで読んでくれてありがとう! 君は相当、GC-21スポーツカーレースを楽しみにしているネ! 次回はおまたせした風洞実験を紹介します。


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